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曇天の欧州が突きつける、太陽光依存の冬のもろさ

曇天の欧州が突きつける、太陽光依存の冬のもろさ

ニュースの概要

欧州で、曇天が続く冬に太陽光の発電量が大きく落ち込む事態への警戒が高まっている。ドイツ語で「暗い凪(なぎ)」を意味するダンケルフラウテである。太陽光は設置が速く発電コストも低いため、脱炭素の主役として急拡大してきた。しかし日射に頼る以上、広い地域で天気が悪くなれば供給力は一気に細る。今回の状況は、パネルの設置量を増やすだけでは安定供給は確保できないことを示している。蓄電池、送電網、需要の調整、他の電源との組み合わせが、改めて問われている。

引用元: 欧州、曇天による太陽光発電低下で電力価格上昇の懸念(Euronews)

分析・見解

設備容量の大きさと冬の実発電量は別の話

太陽光は「何ギガワット設置したか」で語られやすい。だが、電力システムが必要とするのは、需要が高い時間にどれだけ出力できるかである。冬の北欧・中欧は日照時間が短く、日射も弱い。曇天が重なると、晴れた夏の昼と比べて出力は桁違いに小さくなる。設備容量が増えるほど、晴れた日の余剰と曇った日の不足の差は大きくなる。

広域で同時に起きる低下は、融通だけでは埋まらない

欧州は国境をまたぐ送電網で電力を融通し合うことで、地域ごとの天候差をならしてきた。ところが曇天や無風が広い範囲で同時に起きると、融通する側にも余力がない。そのとき電力価格は、需給の逼迫(ひっぱく)を映して跳ね上がる。風力も弱い日が重なれば、残る頼みは天然ガス、原子力、水力、石炭などになる。再エネを増やしても、バックアップの火力を維持する費用は消えない。この二重のコストが、価格上昇の底流にある。

蓄電池は強力だが、守備範囲は数時間から1日が中心

蓄電池は急速に安くなり、昼の余剰を夕方から夜に回す用途では大きな効果を出している。一方で、数日から数週間続く低出力を埋めるには、電池だけでは容量も費用も足りない。この長い谷間には、水素や貯水式水力、バイオマスなど、長期保存や調整に向く電源が受け持つ役割になる。短い谷は電池、長い谷は別の手段、という分担が現実的である。

価格の変動が、新しい稼ぎ方と新しい損失を生む

価格が大きく振れる市場では、安い時間に蓄えて高い時間に売る事業が成り立つ。反対に、太陽光だけを持つ発電事業者は、出力が多い晴天時に価格が下がる「自分で自分の首を絞める」状況に陥りやすい。つまり、太陽光の価値は発電量だけでなく、いつ発電するかで決まる時代に入っている。

ビジネスへの影響

太陽光単独の事業計画は、価格の振れを織り込む

日本でも冬の日本海側は曇天が続き、太陽光の出力が落ちやすい。事業計画では、年間の平均発電量だけでなく、冬の低出力期間や市場価格の高騰時期を想定した収支の試算が欠かせない。蓄電池の併設や、発電時間をずらせる契約の設計は、単なる付加機能ではなく収益の安定装置になる。

電気を使う側にも、時間をずらす力が求められる

工場や物流拠点、データセンターなどの大口需要家は、需要を動かせる設備を持つ。冷凍設備の稼働時間、充電のタイミング、生産ラインの調整などを、価格の高い時間から外すだけで電気代は下がる。市場連動型の料金メニューを選ぶ企業ほど、この調整力が直接の利益に結びつく。

調達先を分散し、長期の逼迫に備える

電力を一つの電源や一つの契約に頼ると、欧州で起きている価格急騰の影響を受けやすい。再エネ電源、固定価格の長期契約、自家発電や蓄電池を組み合わせ、調達を分散させたい。投資判断でも、設置量の拡大より、出力の谷間をどう埋めるかを先に設計した案件のほうが、長期では強い。

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