水力発電
世界最大の再生可能エネルギー源
水力発電は、世界の再生可能エネルギーの中で最も大きな割合を占める成熟した技術です。2023年の世界の水力発電設備容量は約1,400GWに達し、再生可能エネルギー全体の約40%を占めています。
大規模水力発電
ダム式、流れ込み式、揚水式発電所による大規模電力供給。中国の三峡ダム(22.5GW)が世界最大。
小水力発電
10MW以下の小規模水力発電。環境負荷が少なく、地域分散型電源として注目。
揚水発電
電力需給調整の要。再エネ大量導入時代の蓄電システムとして重要性増大。
地熱発電
安定した基幹電源としての可能性
地熱発電は、地球内部の熱エネルギーを利用する安定した再生可能エネルギーです。設備利用率が70-90%と高く、ベースロード電源として機能します。
主要技術と市場
- フラッシュ発電: 高温地熱資源(150℃以上)を利用。世界の地熱発電の約60%
- バイナリー発電: 中低温資源(100-150℃)を利用。技術革新により適用範囲拡大
- EGS(地熱増産システム): 人工的に地熱貯留層を造成。将来の主力技術
世界の地熱発電設備容量(国別)
日本は世界第3位の地熱資源量(23GW相当)を有しながら、開発率は2%程度に留まっています。環境規制緩和と技術革新により、2030年までに1.5GWへの拡大を目指しています。
バイオマス発電
カーボンニュートラルな循環型エネルギー
バイオマス発電は、生物由来の有機性資源を燃料とする発電方式です。カーボンニュートラルな特性と、廃棄物の有効利用による循環型社会への貢献が期待されています。
木質バイオマス
森林資源や製材廃材を活用。日本では間伐材利用による森林保全にも貢献。
発電効率: 20-30%
CO2削減: 化石燃料比80%削減
農業系バイオマス
農業残渣、畜産廃棄物をメタン発酵により電力化。地域循環型エネルギーの代表例。
バイオガス生産: 450億m³/年
発電容量: 18GW(世界)
廃棄物発電
都市ごみ、産業廃棄物を燃料化。廃棄物処理問題の解決と電力供給を両立。
処理能力: 4億トン/年
発電量: 130TWh/年
海洋エネルギー
未開拓の巨大エネルギー資源
海洋エネルギーは、波力、潮力、海洋温度差、塩分濃度差など、海洋の持つ様々なエネルギーを利用する技術です。理論的ポテンシャルは世界の電力需要の数倍に達します。
主要技術の開発状況
技術 | 原理 | 開発段階 | ポテンシャル |
---|---|---|---|
潮力発電 | 潮の干満差を利用 | 商用化 | 1,200TWh/年 |
波力発電 | 波の運動エネルギー | 実証段階 | 30,000TWh/年 |
海流発電 | 海流の運動エネルギー | 実証段階 | 800TWh/年 |
海洋温度差発電 | 表層と深層の温度差 | 実証段階 | 10,000TWh/年 |
実用化プロジェクト
- 英国MeyGen: 世界最大の潮流発電所(398MW計画)
- フランス・ランス潮力発電所: 240MW、1966年から稼働
- 日本・久米島OTEC: 100kW海洋温度差発電実証プラント
- ポルトガル・Aguçadoura: 世界初の商用波力発電所
技術別特性比較
各再生可能エネルギーの特徴と適用領域
技術選択の指針
- 安定供給重視: 水力、地熱、バイオマス
- 大規模開発: 大規模水力、洋上風力
- 分散型電源: 小水力、バイオマス、太陽光
- 将来性: 海洋エネルギー、EGS地熱