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米国ITCがインド・インドネシア・ラオス製の太陽光製品に損害認定、迂回生産の限界と企業の備え

米国ITCがインド・インドネシア・ラオス製の太陽光製品に損害認定、迂回生産の限界と企業の備え

ニュースの概要

米国際貿易委員会(ITC)は、インド、インドネシア、ラオスから輸入される太陽電池関連製品について、米国の国内産業に重大な損害を与えているとする最終判断を示した。委員の投票は5対0で、全員一致である。これにより、不当廉売(ダンピング)や補助金に対抗する追加関税を正式に課す道が開けた。報道では、税率は最大で267%に達する可能性がある。背景には、中国製品への依存を下げようと、太陽光メーカーが東南アジアなどに工場を移してきた経緯がある。しかし米国の業界団体は、移転先からの安値輸出が新たな脅威になったと訴えてきた。今回の認定は、生産拠点を動かすだけでは関税を避けられなくなる流れを、いっそう鮮明にした。

引用元: 米国ITC、インド・インドネシア・ラオス製太陽光輸入で損害認定(InsideTrade.com)

分析・見解

全会一致が示す、迂回生産への厳しい姿勢

5対0という結果は、損害の有無について委員の間にほとんど迷いがなかったことを意味する。ITCが「損害なし」と判断すれば、関税は発動されない。今回は、その最後の関門を全員が通過した形だ。

米国の太陽光をめぐる貿易措置は、まず中国製品を対象に始まった。その後、マレーシアやタイ、ベトナム、カンボジアへと対象が広がり、今回はインド、インドネシア、ラオスに及んだ。工場が移るたびに調査も追いかける、いわばもぐらたたきの構図である。申し立てたのは米国内の製造業者でつくる団体で、狙いは国内の新工場への投資を安い輸入品から守ることだ。IRA(インフレ抑制法)の税額控除を追い風に、ここ数年は太陽電池や組み立ての工場計画が相次いだ。だが価格が下がり続ければ、採算が合わなくなる。

税率267%が、工場の立地計算を根本から変える

関税が数十%なら、人件費や物流の差で吸収できる場合もある。だが200%を超える水準では、米国向けの輸出は成り立たない。輸入価格が100ドルのパネルに200%の関税がかかれば、税だけで200ドル増える計算だ。

ただし、報道されている最大267%は、企業ごとに決まる税率の上限と見るべきだ。調査に協力して情報を出した企業は低めに、協力しなかった企業は高めに算定される傾向がある。同じ国の中でも、税率の差で勝者と敗者が分かれる可能性がある。

国を変えても、セルの産地までは変えられない

太陽光パネルは、ポリシリコン、ウエハー、セル(=発電する心臓部の素子)、モジュール(=パネル本体)の順に作られる。東南アジアの工場の多くは、中国から部材を運び込み、後工程を担う形だった。付加価値の大半は上流にあるため、工場の所在地を変えても、実質的な中国依存は残る。

今回の調査は、まさにこの構造を突いている。今後の競争力は、セルの製造まで自前で持つか、中国以外の供給網を組めるかで決まるだろう。TOPCon(=高効率型の量産セル)のような方式は設備投資が重く、資金力の乏しい小規模工場には厳しい。

保護策は、需要を冷やす副作用も抱える

見落とされがちなのは、関税が国内産業を守る一方で、導入量を鈍らせる点だ。米国の太陽光導入は、安い輸入品に大きく支えられてきた。国内の生産能力が需要に追いつくまでの間、価格が上がれば、発電事業者は計画を遅らせる。

欧州が2013年に中国製品へ最低価格の仕組みを導入した際も、価格の下支えと導入ペースの鈍化が議論になった。保護と普及は、ときに両立しない。米国市場で実際に起きるのは、輸入元の入れ替わりと価格の段階的な上昇だろう。国内工場の稼働と導入目標のどちらを優先するのか、今後の政策運営が試される。

ビジネスへの影響

調達担当がまず確認したい三つの点

米国向けにパネルを売る企業も買う企業も、原産国だけでなく、セルとウエハーの産地を把握しておきたい。今回のような調査では、最終製品の組み立て地より、中身の出どころが問われやすいためだ。

次に、取引先がどの税率区分に入るかを確かめる。税率は企業ごとに決まるので、同じ国の供給元でもコストは大きく変わる。三つ目は契約の条項である。価格を固定した長期契約では、追加関税を誰が負担するかで争いになりやすい。関税が変わった場合の分担ルールを、先に書き込んでおくべきだ。書類の整備も重要になる。製造工程の記録や部材の購入証明をすぐ出せる状態にしておけば、調査の際の対応が早くなる。

日本企業は価格競争を避け、強みの出せる場所を選ぶ

日本のメーカーや商社にとって、中国にも東南アジアにも偏らない供給元という立場は、評価される余地がある。ただし米国向けの量産規模は限られ、価格だけで争えば苦しい。

現実的なのは、施工や運用、保守といったサービスや、軽くて曲げられるペロブスカイト(=次世代の薄い太陽電池)のような新技術で組む道だ。関税の影響を受けにくい分野で、米国の需要に入り込む発想が要る。

投資判断には、関税の見直しも織り込んだ複数の想定を

税率は、今後の行政上の見直し手続きで変わる場合がある。案件の収支計画は、現行税率のまま、税率が下がる場合、さらに対象が広がる場合の三つで試算しておくと安心だ。

対象国が増える可能性も忘れてはならない。次の調達先として有望に見える国が、数年後に調査の対象になることは、これまで何度も繰り返されてきた。供給元を一か国に絞らず、二、三か国に分散させることが、最も確実な備えになる。

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