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欧州の太陽光業界35社超が団結、石英からモジュールまで域内供給網の再構築をEUに迫る理由

欧州の太陽光業界35社超が団結、石英からモジュールまで域内供給網の再構築をEUに迫る理由

ニュースの概要

欧州の太陽光発電企業や業界団体など35以上が共同書簡を公表し、欧州議会、EU理事会、加盟国に対して、域内の太陽光バリューチェーン(=原料から製品までの一連のつながり)全体を作り直すよう求めた。対象は石英からシリコン、ウエハー、セル、モジュールに至る製造の各段階である。書簡は、EUが進める産業政策のIndustrial Accelerator Actを活用し、域内生産の競争力を高めるべきだと主張する。欧州では太陽光の導入が拡大し続ける一方、機器の多くは域外からの輸入に頼っている。導入量の伸びと国内産業の空洞化が同時に進む状況に、業界が強い危機感を示した形である。

引用元: 欧州太陽光業界35社超、域内のPVサプライチェーン再構築をEUに要請(pv magazine Global)

分析・見解

導入では世界をリードしたが、工場は育たなかった

欧州は2010年代、太陽光の導入量で世界の先頭を走った。だが製造の主役は、価格競争で勝る中国勢に移った。ウエハー(=シリコンを薄く切った板)やセルの工程では、世界の生産の大半をアジアが占めるとされる。欧州の工場は採算が合わず、かつての有力メーカーも相次いで撤退した。今回の書簡は、この流れに歯止めをかけたいという業界の声である。

注目すべきは、最終製品の組み立てだけでなく、石英まで対象に含めた点だ。石英は高純度シリコンの原料である。モジュールだけを国内で組み立てても、上流を外国に握られていれば、供給が止まる危険は残る。組み立て工場は、いわば最後の一手間を担うにすぎない。

一部の工程だけを支援しても穴が残る理由

太陽光の供給網は鎖のようなもので、一か所が弱ければ全体が弱くなる。例えばセル工場を誘致しても、ウエハーを輸入に頼る限り、価格も納期も上流の都合に左右される。半導体でEUが進めたChips Actでも、設計、製造、材料のどこを厚く支えるかが長く議論になった。太陽光でも同じ問題が起きるはずだ。書簡が「全体の再構築」を掲げるのは、部分的な支援の限界を見越しているからだろう。

最大の壁は電力コスト、武器は環境基準

シリコンの精製や結晶の育成は、電力を大量に使う。欧州の産業用電力は米国や中国より高く、ここが最大の不利になる。一方で、低炭素の電力で作った製品は、製造時の排出量が少ない。EUが炭素排出量の開示や、強制労働で作られた製品の排除を厳しくすれば、価格だけではない競争軸が生まれる。米国が2022年のインフレ抑制法で国内製造に税額控除を付けたように、需要側のルールが工場投資を呼ぶ例は多い。

ただし、規制だけで工場は建たない。融資、許認可の短縮、電力の長期契約まで一体で用意できるかが問われる。

日本が通った道と、次世代技術という別の選択肢

日本も2000年代には世界有数の太陽電池生産国だったが、価格競争に敗れて後退した。欧州がいま振り返っているのは、日本が通った道と重なる。一方で、ペロブスカイト(=薄く軽い新型の太陽電池)のように、新しい技術で上流から押さえ直す道もある。欧州の議論の底には、既存のシリコン製造を取り戻すのか、次の技術に賭けるのかという問いが隠れている。

ビジネスへの影響

調達先の分散を価格表に織り込む時期

太陽光の事業者は、モジュールの調達価格を、今の安さのまま将来も続くものとして見積もるべきではない。EUの規制が強まれば、低価格の輸入品に追加の確認や費用が生じる可能性がある。EPC(=設計から施工までを請け負う事業者)や発電事業者は、複数の調達先を持ち、産地を切り替えたときの採算を事前に試算しておきたい。

欧州向けに売る企業が確認したい三つの点

第一に、製品の炭素排出量を算定し、第三者の確認を受けられる体制があるか。第二に、原料から部材までの産地を追跡できるか。第三に、域内生産の比率が入札や補助金の条件になった場合に、現地での組み立てや提携で対応できるか。いずれも、規制が決まってから動いては遅い。担当者を決めて、今期中に現状を棚卸ししておくとよい。

日本の素材・装置メーカーに開く商機

欧州で上流工程の工場が増えれば、高純度の石英やシリコン、結晶炉、切断や検査の装置に需要が生まれる。日本には、この分野に強みを持つ素材メーカーや装置メーカーがある。完成品の価格では中国勢に勝てなくても、工場を立ち上げる側に回れば勝負できる。欧州の企業と共同で計画を立てる、現地の工場に技術提供するなど、早めの接点づくりが有効だ。

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