Renewable Energy Insight

Ørsted、ニューメキシコ州で200MW太陽光に着工 蓄電池併設が米国市場の新常識に

Ørsted、ニューメキシコ州で200MW太陽光に着工 蓄電池併設が米国市場の新常識に

ニュースの概要

デンマークの洋上風力・再エネ大手Ørstedは、米ニューメキシコ州ルーズベルト郡で出力200MWの太陽光発電所「Blackwater Solar」の建設を開始したと発表した。同社にとって同州では初めての案件であり、米国内での再生可能エネルギー事業拡大戦略の一環と位置付けられる。米国の太陽光市場では近年、発電所の大型化と送電網への接続手続きの長期化が同時に進んでおり、電力需要の増加に対応するため、太陽光と蓄電池を組み合わせた供給力の確保が重要なテーマになっている。今回の着工は、そうした市場全体の流れを象徴する動きといえる。

引用元: Ørsted、米ニューメキシコ州で200MWの太陽光発電所建設を開始(PR Newswire / Ørsted)

分析・見解

洋上風力で足踏みする米国事業、太陽光に軸足を移す

Ørstedは洋上風力発電の世界最大手だが、ここ数年は米国東海岸の洋上風力案件でコスト超過や許認可の遅れに苦しんできた。ニュージャージー州沖の案件を撤退したことは象徴的な出来事として記憶に新しい。今回のBlackwater Solarは同社にとってニューメキシコ州初の案件であり、陸上で許認可が通りやすい太陽光に力点を移していることがうかがえる。洋上風力は建設着手から発電開始まで10年近くかかることも珍しくないが、太陽光なら数年単位で稼働できる。収益化までの期間が短い技術へ経営資源を振り向ける動きとみてよい。

送電網への接続待ち行列が立地を左右する時代

米国の太陽光市場で近年目立つのが、送電網への接続順番待ち(=相互接続キュー)の長期化だ。全米の送電系統運用者に登録された接続待ちの発電設備は合計で1,000ギガワットを超えるとされ、申請から接続完了まで平均で5年前後を要する地域も珍しくない。ニューメキシコ州東部は人口密度が低く送電容量に余裕がある地域として知られており、Ørstedがこの立地を選んだ背景には、接続待ちの短さという現実的な計算があるとみられる。立地選定の巧拙がそのまま事業化の速度を左右する時代に入っている。

200MWという規模は蓄電池併設が前提の設計思想

200MWという出力自体は突出して大きいわけではないが、現在の米国太陽光案件では蓄電池を併設し、日没後も電力を供給できる構成が主流になりつつある。カリフォルニア州やテキサス州では太陽光と蓄電池を一体で入札する電力購入契約がすでに一般化しており、単体の太陽光案件は条件面で不利になりやすい。地元電力会社も新規電源の調達条件に蓄電池併設を事実上求めるケースが増えている。Blackwater Solarが蓄電池を併設するかは今回の発表だけでは明らかでないが、業界の設計思想としては併設がすでに既定路線になっている。

政策の不確実性をどう織り込むかが今後の焦点

米国では再生可能エネルギーへの税額控除を巡る政策論争が続いており、制度変更のたびに投資判断が揺れてきた。税制優遇の縮小が議論されるたびに、着工を前倒しする動きと見送る動きの両方が市場に現れる。それでもØrstedが着工に踏み切ったのは、許認可と送電契約の目処が立った案件から優先的に実行するという手堅い進め方の表れだろう。裏を返せば、同様の後ろ盾がない案件は政策の風向き次第で停滞するリスクを抱えたままだ。

ビジネスへの影響

接続待ちが短い地域を投資先選定の優先軸に加える

太陽光・蓄電池事業への参入や拠点選定を検討する企業は、送電網への接続待ちが短い地域を優先的に調査すべきだ。ニューメキシコ州東部のように人口密度が低く送電容量に余裕がある地域は、着工から稼働までの期間を大きく短縮できる可能性がある。立地選定の初期段階で、地域の送電系統運用者が公表する接続待ち行列のデータや既存の送電線容量を確認しておくことで、後工程での手戻りを避けられる。国内で用地を探す場合も、系統の空き容量を早期に確認する発想は同じように有効だ。

太陽光単体ではなく蓄電池併設を前提に事業計画を組む

電力購入契約の入札では、太陽光と蓄電池を一体で提案する案件が優位になりつつある。部材調達や建設を請け負う企業にとっても、蓄電池システムの施工・保守能力を自社に取り込むか、提携先を確保しておくことが受注競争力を左右する局面に入っている。見積もり段階から蓄電池メーカーを巻き込み、一体型の提案書を用意できる体制づくりが急務になる。単品の太陽光パネルだけを扱ってきた企業ほど、この転換への対応が遅れやすい点に注意したい。

政策変更に左右されにくい案件から着手する判断軸

税額控除など制度面の不確実性が残る以上、許認可と送電契約の両方が固まった案件を優先するという慎重な進め方は参考になる。投資判断を急がず、確度の高い案件から実行に移す姿勢が、政策リスクの大きい米国市場で事業を継続する鍵となる。社内の投資委員会向けには、許認可の進捗と送電契約の有無をチェックリスト化し、優先順位を可視化する運用が有効だ。

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