ニュースの概要
BloombergNEFは、2026年の世界の太陽光発電導入量を584GWと見通し、前年の655GWから10.8%減るとの予測を示した。引き下げの主因は、中国市場の減速が当初の想定より速く進んでいることだ。一方で中国を除く市場は313GWまで伸びる見込みで、住宅用と商業用の設置が世界全体の落ち込みを和らげる。単純に差し引くと、中国の導入量は約271GWと計算できる。今回の修正は、太陽光への需要そのものが失われたことを示すものではない。むしろ、中国で急拡大した設置の勢いが落ち着き、市場の重心が分散へ向かう動きと読める。
引用元: BloombergNEF、2026年の世界太陽光発電導入見通しを下方修正(PV Magazine Australia / BloombergNEF)
分析・見解
584GWを中国とそれ以外に分けて読む
世界全体では前年より71GW減る計算になる。ただ、この数字だけを見ると実態を見誤る。中国以外の市場は313GWまで伸びる見通しで、単純に差し引くと中国は約271GWになる。世界の導入量の半分近くを一国が占める構図は、今年も変わらない。
だからこそ、中国が少し動くだけで世界の合計は大きく揺れる。中国以外だけで見れば、数年前の世界全体の水準を上回る規模であり、需要の裾野は着実に広がっている。
中国の減速は、駆け込み設置の反動という面が強い
中国では2025年、発電した電気の売り方が国の決めた買取価格から、市場価格に連動する仕組みへ移った。制度が変わる前に設置を急ぐ動きが強まり、2025年の導入量が押し上げられたと考えられる。655GWという前年の高い数字は、その反動を受けやすい。BNEFが制度変更を理由に挙げたわけではないが、時期の重なりは無視できない。
さらに、送電網に流しきれず発電を止める出力制御(=電気が余ったときに発電所を一時停止させること)が増え、設置しても収益が読みにくくなった。こうして採算の合う案件が絞られていく。
屋根の上の需要は、景気や制度に強いわけではない
住宅用・商業用が下支えするとの見方は妥当だが、万能ではない。欧州では2022年のエネルギー危機で屋根置きが急増したあと、2023年から24年にかけて流通在庫が積み上がり、販売が冷え込んだ。電気代が落ち着けば、設置の動機も弱まる。
一方で、蓄電池とセットで売る動きは新しい支えになる。オーストラリアでは2025年7月に家庭用蓄電池への補助が始まり、太陽光と蓄電池を一体で入れる流れが広がった。電気を自宅で使い切る価値が高まれば、売電価格に頼らない需要が育つ。
パネルの値段とメーカーの経営に響く
中国内の需要が減ると、行き場を失った太陽光パネルが海外へ流れやすくなる。買う側には安く調達できる好機だが、作る側は値下がりで赤字が膨らむ。中国の主要メーカーが数年にわたり損失を出してきたのは、供給が需要を上回ってきたためだ。
2026年の下方修正は、市場の崩れというより、速すぎた拡大が足場を固め直す調整局面と見るのがよい。584GWでも数年前よりはるかに高い水準であり、問われるのは量より、誰が利益を残せるかである。
ビジネスへの影響
調達は価格の安さだけでなく、売り手の体力も見る
中国の国内需要が弱まると、パネルの値下がり圧力は強まる。買い手にとっては追い風だが、安さだけで選ぶのは危うい。メーカーの赤字が続けば、事業の縮小や撤退もありえる。そうなると、10年から25年続く保証が実質的に使えなくなる。
契約時には、財務状況の確認と、保証を保険で裏づける仕組みの有無を条件に入れたい。見積もりの比較表には、価格の欄とは別に「保証の裏づけ」の欄を設けるとよい。調達先を二、三社に分け、規格を揃えておけば、一社が止まっても代替しやすい。
屋根置き事業は蓄電池と組み、売電頼みを脱する
住宅や商業施設向けに販売・施工する会社は、提案の軸を売電収入から電気代の削減額へ移したい。太陽光だけでなく、蓄電池や自家消費の割合まで含めて試算を示すと、顧客が判断しやすい。
補助制度の期限や買取価格の改定は、需要の波を生む。制度の変更時期を年間計画に書き込み、駆け込み需要の前に人員と在庫を確保する。反動期には、保守点検や設備更新といった継続収入の事業で穴を埋められる。
投資判断では、単年の増減より中国以外の伸びを見る
今回の10.8%減は目を引くが、投資家や事業会社が見るべきは中国以外の313GWの推移だ。一年の増減で一喜一憂すると、拡大期に買い、調整期に売る失敗を招く。
三年から五年の平均と、地域ごとの制度変更の予定表を並べて見ると、判断がぶれにくい。日本でも、屋根上や工場の自家消費は、市場の乱高下を受けにくい分野として検討に値する。